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【中古バイクのコラム】知って安心!中古バイク購入時の「諸費用」の内訳、すべて見せます

「これだ!」と心に決めた中古バイク。しかし、販売店の見積もりを見て、「車両本体価格以外に、こんなに費用がかかるの?」と驚いた経験はありませんか?

多くの方が疑問に思うこの「諸費用」。実はその内訳を正しく知ることが、安心して中古バイクを購入し、満足のいくバイクライフをスタートさせるための重要な鍵となります。

中古二輪自動車流通協会では、そんな不安を解消するため、今回は「諸費用」の正体を一つひとつ丁寧に解説していきます。この記事を読めば、見積もりの見方がわかり、自信を持って販売店と話ができるようになります。

「諸費用」は、大きく分けて2種類ある!

中古バイク購入時にかかる諸費用は、大きく「①法定費用」と「②販売店に支払う費用」の2つに分けられます。

  • ① 法定費用: 税金や自賠責保険料など、法律で定められている費用です。誰がどこで購入しても金額は変わりません。

  • ② 販売店に支払う費用: 納車前の整備や登録手続きの代行など、販売店が提供するサービスに対して支払う費用です。お店によって金額や内容が異なります。

それでは、それぞれの内訳を詳しく見ていきましょう。


【諸費用の内訳①】必ずかかる「法定費用」

これらはバイクを所有し、公道を走るために法律で義務付けられている費用です。

1. 自賠責保険料

正式名称は「自動車損害賠償責任保険」。すべての自動車・バイクに加入が義務付けられている強制保険です。万が一、対人事故を起こしてしまった場合に、被害者を救済するために使われます。

料金は排気量と保険期間によって国が定めており、全国一律です。長期間で契約するほど、1年あたりの保険料は割安になります。

【参考】自賠責保険料(126cc~250ccのバイクの場合)

  • 12ヶ月(1年)契約: 7,100円

  • 24ヶ月(2年)契約: 8,920円

  • 36ヶ月(3年)契約: 10,710円

  • 60ヶ月(5年)契約: 14,200円

※2025年7月現在の料金例です。最新の料金は販売店にご確認ください。

2. 税金

バイクの所有者には、排気量に応じて2種類の税金が課せられます。

  • 軽自動車税(種別割) 毎年4月1日時点の所有者に対して課税される税金です。年度の途中で購入した場合は、翌年度からの支払いとなります。

    • ~125cc(原付): 2,400円/年

    • 126cc~250cc(軽二輪): 3,600円/年

    • 251cc~(小型二輪): 6,000円/年

  • 自動車重量税 251cc以上のバイク(小型二輪)の新規登録時や車検時に、車両の重量に応じて課税されます。購入する中古バイクに車検が残っている場合は、次の車検時まで支払う必要はありません。

3. 印紙代・証紙代

ナンバープレートの登録や、車検の申請手続きに必要な手数料です。数百円から数千円程度の実費がかかります。


【諸費用の内訳②】お店によって変わる「販売店に支払う費用」

ここからが、販売店によって金額が変わってくる費用です。内容をしっかり理解し、不明な点は確認することが大切です。

1. 納車整備費用

中古バイクを安全・快適な状態でお客様にお渡しするための点検・整備費用です。これは諸費用の中で最も重要かつ、お店の技術力や姿勢が現れる部分と言えるでしょう。

<主な整備内容の例>

  • エンジンオイル、オイルフィルターの交換

  • スパークプラグの点検・交換

  • バッテリーの充電・交換

  • ブレーキフルードの交換、ブレーキパッドの残量チェック

  • タイヤの空気圧調整、溝のチェック

  • チェーンの清掃・調整・注油

  • 灯火類(ヘッドライト、ウインカー等)の動作確認

【相場】 排気量や車両の状態によって異なりますが、15,000円~50,000円程度が一般的です。「格安」を謳うお店の中には、この納車整備を簡略化しているケースも見られます。価格だけでなく、「どのような整備をしてくれるのか」をしっかり確認しましょう。

2. 登録代行費用

お客様に代わって、役所での名義変更やナンバープレートの交付手続きを行うための手数料です。

これらの手続きは平日昼間に運輸支局などへ出向く必要があり、専門的な知識も求められます。多忙な方や手続きに不慣れな方にとっては、非常に価値のあるサービスです。

【相場】 15,000円~30,000円程度が一般的です。お店の所在地と登録する地域の管轄が違う「遠隔地登録」の場合は、費用が少し高くなることがあります。


【場合によってかかる費用】

上記以外に、車両の状態やお客様の希望によって発生する費用もあります。

  • 車検取得費用(251cc以上で車検切れの場合) 車検が切れているバイクは、公道を走るために新たに車検を取得する必要があります。この費用には、法定費用(自賠責保険料25ヶ月分、重量税、印紙代)と、車検代行手数料、そして車検に通すための整備費用が含まれます。

  • 防犯登録料 盗難防止を目的とした登録制度です。加入は任意ですが、多くの都道府県で強く推奨されています。費用は1,000円~2,000円程度です。

  • 配送料 購入したバイクを自宅まで届けてもらう場合の費用です。距離によって料金は変動します。

【重要】安心して購入するための3つのチェックポイント

後悔しない中古バイク選びのために、必ず押さえておきたいポイントをお伝えします。

  1. 必ず「支払総額」で見積もりを取る 車両本体価格の安さだけで判断せず、法定費用や販売店に支払う費用をすべて含んだ**「支払総額」**で比較検討することが鉄則です。

  2. 「諸費用一式」の表記には質問を! 見積もりに「諸費用一式」や「整備費用」としか書かれていない場合は、「この費用には、具体的にどのような内容が含まれていますか?」と遠慮なく質問しましょう。一つひとつ丁寧に説明してくれる販売店は、信頼できるお店の証です。

  3. 納車整備の内容を具体的に確認する 「納車整備では、オイルやバッテリーは交換してもらえますか?」など、具体的な整備項目を確認することで、購入後のトラブルを防ぎ、安心して乗り始めることができます。できれば整備内容を記載した書面をもらうと、より安心です。

【協会に寄せられる相談事例から学ぶ、本当の注意点】

上記のチェックポイントは、私たちが実際に受ける多くのご相談に基づいています。ここでは、皆様に同じ失敗をしてほしくないという思いから、よくあるトラブル事例とその予防策をご紹介します。

事例1:「整備済み」のはずが…納車直後のトラブル

「『納車整備費用』を支払ったのに、乗り出してすぐにバッテリーが上がってしまった。販売店に連絡したら『消耗品なので保証対象外』と言われた…」

これは非常によくある相談の一つです。納車整備費用を支払っていても、どの範囲まで整備が行われたかが曖昧な場合に起こりがちです。

  • 予防策: 契約前に「納車整備で交換する部品と点検する項目」を具体的に確認し、可能であれば書面に残してもらいましょう。「オイル、プラグ、バッテリーは新品に交換します」といった具体的な言質を得ておくことが重要です。

事例2:「納車整備」の認識の違いによるトラブル

「『納車整備済み』と説明され安心して購入したが、しばらく乗っているとエンジンの調子が悪くなってきた。別の店で見てもらうと『オイルも交換されていないし、各部の調整も不十分』と指摘された。購入店に問い合わせると『うちの納車整備は、安全な走行のための"調整"が基本で、部品交換は含まない』と言われてしまった…」

これは、「納車整備」という言葉に対する購入者と販売店の認識のズレから生じる典型的なトラブルです。購入者は「消耗品の交換などを含む本格的な整備」を期待しますが、販売店側は「基本的な点検と調整」のみを想定しているケースがあります。

  • 予防策: 「納車整備」という言葉だけで判断せず、必ず具体的な作業内容を確認しましょう。「オイルやプラグ等の消耗品は交換されますか?」「チェーン調整やブレーキチェックはどのような内容ですか?」と質問し、実施される項目を整備記録簿や見積書に記載してもらうのが最も確実です。

事例3:「整備込み」のはずが…実質「現状販売」だったトラブル

「『車両本体価格だけでOK!整備もコミコミです!』という安さに惹かれて購入。しかし納車後、ブレーキの効きの甘さが気になり、販売店に相談したところ、『あの価格ですから、整備はおまけみたいなもの。うちは基本的に現状販売と同じですよ』と言われてしまった…」

「納車整備費用」という項目を設けず、「整備込み」と謳うことで割安感を演出する手口です。購入者は整備された安全な車両が手に入ると期待しますが、実際には最低限のチェックのみで、実質的な「現状販売(=車両を今の状態のまま、保証なしで販売すること)」と変わらないケースがあります。契約書に小さく「現状販売」と記載されていることも。

  • 予防策: 「整備込み」という言葉を鵜呑みにせず、「なぜ安いのか」「整備の具体的な内容は何か」を必ず問い質しましょう。たとえ価格が安くても、安全に関わる部分の確認は妥協してはいけません。「現状販売」は、購入者自身が車両の状態を判断し、購入後の不具合はすべて自己責任で対応するという覚悟が必要な販売方法です。そのリスクを理解できない場合は、安易に手を出すべきではありません。

まとめ

中古バイクの「諸費用」は、一見すると複雑で分かりにくいかもしれません。しかし、その内訳は「法律で決まった費用」と「安全と安心のためのサービス費用」で構成されています。

内容を正しく理解し、今回ご紹介したような実際のトラブル事例から学ぶことで、諸費用は決して不透明なものではなく、むしろ安全なバイクライフのために不可欠なものだとお分かりいただけたかと思います。

中古二輪自動車流通協会は、加盟店とともに透明性の高い情報提供と公正な取引の推進に努め、皆様が心から納得して愛車を迎えられるようサポートしてまいります。万が一、購入後にトラブルが発生した際には、当協会のような第三者機関に相談することも一つの手段です。

この記事を参考に、賢く、そして安心して、素晴らしいバイクライフの第一歩を踏み出してください。

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