【冬のバイクライフ】「暖機運転」は必要?キャブ車とインジェクション車、それぞれの“準備運動”


本格的な冬の到来、朝の出発は氷点下目前

今日から12月。カレンダーも最後の一枚となり、街の空気も一気に冬モードに切り替わりました。

昨日の朝、バイクで家を出発したのは朝6時半頃だったのですが、スマホの温度計は4℃を示していました。これから日が昇るという時間帯の冷気は凄まじく、走り出すとすぐに体が芯から冷え切ってしまいました。みなさまも早朝・夜間の走行には、万全の防寒対策をしてお出かけください。

さて、気温がこれだけ下がると気になってくるのが、バイクの「暖機運転(だんきうんてん)」です。

キャブレター車には、やはり「儀式」が必要です

中古車市場ではまだまだ人気が高く、愛好家も多いキャブレター(吸気装置)搭載車。これらについては、昔ながらの暖機運転がやはり必要です。

冬の冷たい空気の中では、ガソリンが気化しにくく、エンジンが冷えた状態ですぐに走り出すと、スロットルを開けた瞬間にエンジンがストール(停止)してしまうことがあります。

  1. チョークを活用する 燃料を濃くして始動性を高める「チョーク」を引き、エンジンを掛けます。
  2. アイドリングで待つ エンジン内部が温まり、金属部品のクリアランス(隙間)が適正になり、オイルが循環するまで少し待ちます。
  3. 徐々にチョークを戻す 回転数が安定してきたらチョークを戻し、アクセルについてくるか確認します。

キャブ車にとって、この時間は単なる待機時間ではなく、「バイクの調子を確かめる大切な対話の時間」と言えるでしょう。近隣への騒音に配慮しつつ、しっかりと目を覚まさせてあげてください。

一方、インジェクション車は?

現在主流のFI(フューエルインジェクション)車は、コンピューターが外気温に合わせて燃料噴射を自動調整します。そのため、キャブ車のような「エンジンが温まるまでまともに走らない」ということはほぼありません。

そのため、長時間のアイドリングは環境面からも推奨されず、「エンジンを掛けてただ待つだけの暖機」は不要と言われています。

しかし、「エンジンがかかる」ことと、「バイクが万全の状態で走れる」ことはイコールではありません。 私たちは、インジェクション車であっても「冬場のウォーミングアップ」は絶対に必要だと考えています。

エンジン以外の「車体」が凍えている

エンジン始動性は良くても、冬場に意識していただきたいのが、「タイヤ」「サスペンション」「駆動系」などの車体側の暖機です。これらはキャブ車・FI車共通の課題です。

  • タイヤの硬化: ゴムが冷えて硬くなり、路面をつかむグリップ力が著しく低下しています。
  • サスペンション: オイルの粘度が高くなり、動きが渋くなっています。
  • チェーン: グリスが固まり、フリクション(抵抗)が増えています。

これらは、止まったままアイドリングをしていても温まりません。 タイヤやチェーンを温めるには、「タイヤを転がす」しかないのです。

おすすめは「走行暖機(そうこうだんき)」

そこで推奨したいのが、「走行暖機」です。

キャブ車であればアイドリングが安定した後、インジェクション車であればエンジン始動後すぐに、「最初の数キロメートルを、慣らし運転のように優しく走る」のです。

  • 急発進・急加速をしない
  • エンジン回転数を上げすぎない
  • 車体を大きくバンクさせない(深く寝かせない)

こうしてゆっくり走りながら、タイヤを揉んで温め、サスペンションを動かし、チェーンやベアリングのグリスを馴染ませていきます。

ライダー自身の暖機もお忘れなく

そして何より、冒頭でお話ししたように、寒さはライダーの体もこわばらせます。体が冷えてガチガチになっていると、とっさの操作が遅れがちになります。

バイク(機械)とライダー(人間)、双方が温まってスムーズに動けるようになるまでは、「いつも以上に慎重な運転」を心がけてください。

寒さに負けず、愛車のコンディションを整えて、12月も安全なバイクライフを楽しみましょう。

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