
「秋の日は釣瓶落とし」のことわざ通り、日中の残暑とは裏腹に、日が暮れるのがめっきりと早くなってきましたね。ツーリングには最高の季節ですが、この時期に特に注意したいのが夕暮れ時のバイク事故です。
なぜ、夕暮れ時は危険なのか?
警察庁の統計でも、日没前後の薄暮(はくぼ)時間帯は、昼間に比べて死亡事故の発生件数が約2.7倍に増加するというデータがあります。特に、バイクが関係する事故の中で多いのが、交差点での「右直事故(うちょくじこ)」です。これは、直進するバイクと、対向車線から右折してくる四輪車が衝突する事故のことで、ライダーが大きな被害を受けるケースが後を絶ちません。
四輪ドライバーからバイクはどう見えている?
では、なぜ夕暮れ時に右直事故が多発するのでしょうか。そこには、バイク特有の事情が関係しています。
1. ヘッドライトが小さく、見落とされやすい
バイクのヘッドライトは、四輪車に比べて非常に小さいのが特徴です。日中であれば認識できても、周囲が薄暗くなってくると、その小さな光は見落とされがちになります。ドライバーが「まだ対向車は来ていない」と誤認し、右折を開始してしまうのです。
2. 光に紛れて認識しづらい「蒸発現象」に近い状況
さらに危険なのが、バイクのライトが他の光に紛れてしまう現象です。
例えば、バイクの後ろに四輪車が続いている場合、後続車の大きなヘッドライトの光に、バイクの小さなライトが吸収されるように見えにくくなることがあります。また、街中のきらびやかなネオンや、店舗の照明なども、バイクの存在を分かりにくくする要因となります。
これは、夜間に先行車のテールランプが対向車のヘッドライトに照らされて一瞬見えなくなる「蒸発現象」と似た状況で、対向車からはバイクがいるのか、それとも遠くにいる四輪車なのか、判断がつきにくくなるのです。
その結果、ドライバーは**「バイクの速度や距離感を実際よりも遅く、そして遠くにある」**と錯覚し、「まだ大丈夫だろう」と右折を始めてしまうのです。
ライダーが実践すべき、夕暮れ時の防衛運転
こうした事故から身を守るために、私たちライダーができることは何でしょうか。
- 被視認性を意識した服装・装備を心がける バイクは常時ヘッドライトが点灯していますが、それだけで万全とは言えません。夕暮れ時は、黒や紺といった暗い色のライディングウェアは、背景に溶け込んでしまいがちです。ジャケットやヘルメットに明るい色を取り入れたり、反射材の付いたウェアや用品を活用したりすることで、ドライバーからの視認性を格段に高めることができます。
- 「かもしれない運転」をいつも以上に意識する 「対向車のドライバーは、自分の存在に気づいていないかもしれない」 「あの車は、急に右折してくるかもしれない」 交差点に近づいたら、常に最悪の事態を想定し、いつでも回避できる速度と心構えで運転することが重要です。
- ハイビームを効果的に使う 常時点灯しているロービームに加え、対向車や先行車がいない状況では、ハイビームを積極的に活用しましょう。ロービームに比べて遠くまで光が届き、自分の存在をより早く、強くアピールできます。ただし、対向車などがいる場合は眩惑させないよう、こまめにロービームへ切り替えるマナーを忘れずに。
- 右折待ちの車がいる交差点では、特に注意を払う 対向車線に右折待ちの車を見つけたら、「曲がってくるかもしれない」という意識を最大限に高めましょう。いつでも止まれる速度に落とし、相手の車の動きを注意深く観察してください。
秋はツーリングの楽しみが広がる素晴らしい季節です。しかし、一瞬の油断が大きな事故につながる可能性も潜んでいます。自分の身を守るため、そして楽しいバイクライフを続けるためにも、夕暮れ時の運転には一層の注意を払い、安全運転を心がけましょう。
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